ブログ記事

2025.11.11
収益還元法を活用するメリット

収益還元法を活用するメリット

収益還元法を活用するメリットとして、以下の3つのポイントが挙げられます。

  • 投資用不動産の収益力を価格に反映できる
  • 購入価格が収益性に見合っているかを判断できる
  • 融資審査への活用

上記のメリットを詳しく解説していきます。

 

投資用不動産の収益力を価格に反映できる

収益還元法を活用することで、投資用不動産の収益力を価格に反映させることが可能です。

収益還元法は、不動産が将来的に生み出す収益を基に価値を算出する手法です。

他の評価方法と異なり、収益性を重視して価格を決定するため、利回りの良い物件の価値を適切に反映できます。

例えば、年間家賃収入が1,500万円で諸経費が200万円かかる物件の場合、純利益は1,300万円です。

純利益(1,300万円)を還元利回り5%で割ると、不動産価格は2億6,000万円となります。

このように収益還元法では、物件の収益力を価格に反映できるため、高い利回りの物件を適正な価格で評価できます。

不動産投資初心者でも、この方法を理解することで失敗リスクを軽減できるでしょう。

 

購入価格が収益性に見合っているかを判断できる

一般的な不動産評価方法では、立地や過去の取引事例などに基づく価格評価が主流ですが、これらは物件の収益性を十分に考慮していない場合があります。

一方、収益還元法では、賃料収入や経費などから得られる純収益を基準に価格を算出するため、収益性を重視した評価が可能です。

例えば、年間純収益が100万円で還元利回りが5%の場合、直接還元法を用いると「100万円 ÷ 0.05 = 2,000万円」となり、この物件の適正価格は2,000万円と判断できます。

また、DCF法では将来のキャッシュフローや売却予想価格も考慮するため、より細かな評価が可能です。

これにより、高すぎる物件や逆に割安な物件を見極めることができます。

 

融資審査への活用

収益還元法は、融資審査において物件の収益性を的確に評価できるため、金融機関からの信頼を得やすくなります。

賃貸マンションや商業施設など収益物件の評価に適しており、他の評価方法(積算法や取引事例比較法)では反映しきれない収益力を正確に把握できます。

例えば、年間純収益が400万円で還元利回りが5%の場合、収益還元法に基づく適正価格は「400万円 ÷ 0.05 = 8,000万円」と計算されます。

上記の価格を金融機関に提示することで、物件の収益性を根拠づけられます。

結果、融資審査がスムーズになり、場合によっては借入条件が改善される可能性があります。

 

収益還元法を用いたシミュレーション

【直接還元法のシミュレーション例】

大阪市内のワンルームマンションを例に考えてみましょう。

月額家賃収入:10万円(年間120万円)

年間経費:20万円(管理費、修繕費、固定資産税など)

還元利回り:6.4%(大阪市北区の想定利回り)

計算式:(年間収入 - 年間経費)÷ 還元利回り

(120万円 - 20万円)÷ 0.064 = 1,562.5万円

このシミュレーションでは、物件の適正価格は約1,562万円となります。もし市場価格が1,500万円であれば割安と判断できるでしょう。

【DCF法のシミュレーション例】

次に、同じ物件を5年間保有するケースでDCF法を使ってみます。

年間純収益:100万円(120万円 - 20万円)

割引率:3%

5年後の予想売却価格:1,500万円

各年の純収益の現在価値:

1年目:100万円 ÷ (1+0.03) = 97万円

2年目:100万円 ÷ (1+0.03)² = 94万円

3年目:100万円 ÷ (1+0.03)³ = 91万円

4年目:100万円 ÷ (1+0.03)⁴ = 89万円

5年目:100万円 ÷ (1+0.03)⁵ = 86万円

5年後の売却価格の現在価値:

1,500万円 ÷ (1+0.03)⁵ = 1,294万円

合計:97万円 + 94万円 + 91万円 + 89万円 + 86万円 + 1,294万円 = 1,751万円

DCF法による評価額は約1,751万円となります。

物件の収益力を数値化することで、感覚ではなく客観的な判断ができるようになります。

特に直接還元法は比較的簡単に計算できるため、初心者の方でも活用しやすい方法です。